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統計的手法による空調システムの不具合検知に関する研究
■背景
 近年、省エネルギーが必要不可欠になってきている。これを受け、省エネルギーを追求した建物が多く設計されているが、このような建物においても空調システムに不具合が生じると、その性能を発揮することは出来ない。また、空調システムに精通している熟練技術者の不足も大きな問題となってきており、不具合が発生したときに対応できなくなっているのが現状である。  このため、本研究では、不具合を自動的に検知し、その原因を診断できる不具合検知・診断システムを開発することを目的としている。
■研究概要
 本研究では、空調システムの制御ユニットに対して、不具合を模擬した制御設定の変更を行った既存建物において実測されたデータをもとに研究を行っている。実測データの分布性状に着目し、スペクトル分析や統計手法を用いることで種々のパラメータを設定している。そのパラメータを用いてマハラノビスの汎距離を算出することで不具合を検知しようと考えている(右図)。
概念図
■マハラノビスの汎距離
 マハラノビスの汎距離は、散布図上の点と分布中心からの距離を変量のばらつきである分散で標準化した距離であり、変量間に相関がある場合に用いると、その利点が大きくなる(下右図)。各変量間において、平均値からそれほど離れておらず分布中心からそれほど離れていないと思われる点Aでさえも、マハラノビスの汎距離を用いると分布中心から大きく離れていると判断することが出来る。
相変化概念図 PCM写真
■これまでの成果
  • マハラノビスの汎距離を用いた不具合検知手法の有用性の確認
  • ■発表論文
    No. タイトル 著者・発表者 掲載 年月
    国内学会発表・国内シンポジウム
    01
    蓄熱式空調システムにおける不具合検知に関する研究
    (その1)マハラノビスの汎距離を用いた不具合検知の試行
    吉川貴雄,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史, 丹羽英治, 嶋田宣広
    空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.49-52
    2006.3
    02
    統計的手法による空調システムの不具合検知に関する研究
    (その1)マハラノビスの汎距離を用いた不具合検知の試行
    吉川貴雄,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史, 丹羽英治, 嶋田宣広
    日本建築学会近畿支部研究報告集 第46号 環境系, pp.285-288
    2006.6
    03
    統計的手法による空調システムの不具合検知に関する研究 (その2) マハラノビスの汎距離を用いた不具合検知手法の感度に関する検討
    吉川貴雄,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,丹羽英治,嶋田宣広
    日本建築学会大会学術講演梗概集 D-2, pp.1239-1240
    2006.9
    04
    温度成層型蓄熱システムの槽内温度による不具合検知の試行
    吉川貴雄,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,丹羽英治,嶋田宣広
    空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集, pp.191-194
    2006.9

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